サイベルカス

あたみん

百合小説誌「あめあがり」創刊

────芸術が境界を対象化しない逸脱であるように、百合とは、反復されうる様式ではなく、百合を対象化しない逸脱として複雑な関係を築くことである。

 

2015年11月23日、東京流通センターにて行われる文学フリマで、小説的なものを中心とした多形式創作誌「あめあがり」を頒布します。価格は500円。ジャンルは小説|百合、百合の拘束から解き放たれたなかで書かれた、いきいきとした運動のあつまりです。

2015年11月27日追記:こちらから購入できます。

同12月2日追記:馬喰町のアーティストランスペースDESK/okumura(東日本橋3-1-8)にて委託販売を開始しました。DESK限定で、作家・奥村直樹によるドローイング「やみあがり」が特典でつきます。

 

【収録作品】
山階基「すこしふるえている日記」
山階基:早稲田短歌出身、第60回角川短歌賞 佳作、第3回現代短歌社賞 佳作
未来短歌会「陸から海へ」に所属、黒瀬珂瀾に師事。
 短歌を含んだ2011年3月11日から2014年9月14日にかけての日記

 

溺愛「柔らかいつの」「身代金払えないね」「見た瞬間に殺してしまう」
溺愛:北大路翼賞
 「みもざが泣くたびにその猫っ毛の短いパーマからはぽんぽんと花や草が咲くのだけれど、その日の彼女は大荒れに荒れていて部屋の中はものすごい数の花びらで覆い隠されていた。一体なにがおきたのだと僕がみもざに尋ねると、みもざはピンクに上気した鼻をすすりながらこう答えた。
『リザがわたしと別れるって言うの。もうわたしたち三つの時からキスをして、五つでセックスをしたわ、リザの白い肌も黒くて硬い陰毛も、なめらかなピンクのヴァギナだってわたししか知らないわ、なのに、なのに彼女別れるだなんてわたしに言うの。』」

 

三七十「渋谷」「幾つ数えても君の夢」
三七十:KADOKAWA発想力ワークショップ2015 田丸雅智賞
「5つ数えれば君の夢」「レイニー&アイロニーの少女コレクション」についての文章を含む、「少女」を見る少女の詩篇とエッセイ

 

荻原健吾「阿梅」
共産主義圏のノスタルジアと百合を含んだ、中国を舞台にした掌編小説

 

まりこねこ「あめあがり」
憎みあい、傷つきあいながら愛しあう少女たちの互いへの思いを綴った完成しない修士論文

 

あたみん「ネクロフィリア
火災/紅葉/遺骸/食肉/腐蝕/奔流の鮮烈なイメージな連鎖の果て、愛憎の果てに詩を詠む火の少女が死姦を愛する水の少女を抱くとき世界は──純粋百合小説