サイベルカス

あたみん

2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

山尾悠子『飛ぶ孔雀』について――消退・ノスタルジア・相転移点――

『飛ぶ孔雀』が『不燃性について』に続くのに象徴されるように、というか本編で描かれていることだが、山尾悠子は「火を継ぐ」ことを契機として登場人物が火のモチーフのあるあらゆる道具を対象化したときに火種のようなものが喪われていくような世界を描い…

遡行ーー関係がうまれる瞬間の手ざわりを拾いあつめること(松家仁之『光の犬』を読んで書く)

2018年1月から10月までの現代日本の文学賞受賞作を媒介に、書くことと向きあう『私的文芸年鑑』のために執筆された文章です。 atami.booth.pm 「わたしが読む」という運動を介して、この時代の小説がもつ「手ざわり」だけでも書き残すことはできないか、そし…

おらおらで、さ。(第158回芥川賞 若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』を読んで書く)

2018年1月から10月までの現代日本の文学賞受賞作を読んで書くことをテーマにした『私的文芸年鑑』のために執筆された文章です。 「わたしが読む」という運動を介して、この時代の小説がもつ「手ざわり」だけでも書き残すことはできないか、そしてそれを「書…